青年海外協力隊

JICAボランティア(青年海外協力隊)でフィジーへ。理学療法士 三田村徳さんインタビュー

国際協力に興味のある人なら誰もが聞いたことがあるであろう「青年海外協力隊」。青年海外協力隊とは、独立行政法人国際協力機構(JICA/ジャイカ)が運営する、国際ボランティアのこと。現在、フィジーにも31名のボランティア(青年海外協力隊・シニア海外ボランティア)が派遣されています。

興味はあるけど、実際どんな感じなんだろう?という方のために、今回は、青年海外協力隊の仕事内容や現地での暮らしについて、フィジーに派遣されている理学療法士隊員の三田村さんにお話を伺っていきます。

インタビューに協力してくれた方

三田村 徳(みたむら あきら)。1987年生まれ。JICAボランティア青年海外協力隊2017年度一次隊。理学療法士。2017年6月27日〜2019年6月26日の2年間、フィジーのビチレブ本島の首都に隣接するタマブア地区にある「フィジー国立リハビリテーション病院」に配属。

青年海外協力隊応募のきっかけ

青年海外協力隊

— 青年海外協力隊を知ったきっかけは?

三田村:初めて知ったのは高校生の頃、テレビCMを見たときです。その時はなんとも思っていなかったのですが、大学時代に青年海外協力隊の経験をされた理学療法士の授業を受ける機会があり、海外ボランティアに興味を持ち始めました。そのころ、JICAのホームページで青年海外協力隊の要請内容を調べたこともありましたが、英語も全くできない私にはできないことだと、すぐに応募はせずに心の片隅にしまっていたんです。

— 卒業後は日本で理学療法士として働いていたんですよね。

三田村:はい。地元でもある宮城県で理学療法士として6年間働きました。25歳のときに結婚もしています。

— 青年海外協力隊に興味を持ち始めてから応募するまでにかなりの期間があるんですね。今回応募するまでに至ったのは、何かきっかけがあったのでしょうか。

三田村:タイ旅行に行ったときの経験が大きかったです。バンコクの街なかで、ひとりの老人女性が路上へ座り人形を売っていたのを見かけたんです。その方は明らかに歩けない状態でしたが、毎日稼ごうと必死になっています。私は普段、理学療法士として、リハビリを通して患者さんが普通の生活をおくれるよう努めているのに、その時は、その女性から人形を買ってあげることぐらいしかできない。そんな自分自身の無力さを感じました。そこから、発展途上国のためにできることをしようと、真剣に考え始めました。

— 結婚されているとのことでしたが、奥様からの反対はなかったですか?

三田村:妻ははじめは反対していました。子どももまだいないですし、ひとりで残されて不安ですよね。でも、最終的には私の気持ちを理解してくれて、応援してくれるようになりました。妻や家族にもとても感謝しています。

必ずしも希望国に行けるわけではない

フィジー国立リハビリテーション病院
三田村さんが派遣しているフィジー国立リハビリテーション病院の中庭

三田村:応募の際、派遣国については第三希望まで出せるのですが、私は第一希望タイ、第二希望ベトナム、第三希望フィジーで提出していました。

— では、三田村さんは第三希望の国に決まったんですね。

三田村:そうですね。中には、希望国とは全然違うところに決まる人もいます。おそらく、私が回復期リハビリテーション病棟専従理学療法士として働いていた経験や保有資格などが要請内容と合致していたので、フィジーに派遣されることになったんだと思います。

— 要請内容に対して自分がいかに役に立てるか、応募書類にしっかり書くことも必要そうです。

三田村:はい。あとは、私は面接の時に、とにかく発展途上国のために理学療法士として行きたいと熱意を伝えました(笑)。

— それもすごく大事ですね!

青年海外協力隊の派遣前研修ってどんなもの?

駒ヶ根青年海外協力隊訓練所

— 合格した人は、派遣前に国内で研修があるんですよね。

三田村:はい。私は長野県の駒ヶ根訓練所で、約200名の同期と70日間過ごしました。主な訓練内容としては、語学訓練(私の場合は英語)と各講座です。朝6時半には整列し、ラジオ体操・ランニングがはじまり、朝が弱い私には大変でした(笑)。

— 語学訓練や各講座は具体的にどのようなことを行うのでしょうか。

三田村:英語訓練は、4~6名ほどのクラスに分かれて行われます。英語の授業が夕方まであり、毎日課題も出題されました。

— 英語はあまり得意ではなかったということですが……

三田村:はい。第一希望の国はタイでしたし、もともと英語圏の国に派遣されるとは思っていなかったんです。自主的に英会話やTOEICなども勉強していたものの、派遣前訓練は本当に苦労しました。でも、おかげでこっちに来てから英語でワークショップをしたり、リハビリの対応やコミュニケーションをとれるようになりました。今でも英語は継続的に勉強していますね。

— 海外で英語を使って活動できているのはすごいことです。研修では、語学のほかにはどんな講座があるんですか?

三田村:国際協力やボランティア事業の理解、異文化の適応と理解、健康・安全管理の向上、生活技法や野外訓練など、さまざまな講座や訓練を行います。訓練開始から約1ヶ月後には、同職種の人を集めて、職種に関する講義をすることが週1~2回増えました。

同期の仲間たちは、職種はバラバラですが、素晴らしい人間性と専門性の高い方たちが集まっていたので、毎日刺激的でとても楽しかったです。

青年海外協力隊の活動内容

フィジー国立リハビリテーション病院
リハビリテーションフロア

— 現地に到着してからは、どのようなスケジュールで動いていたのでしょうか。

三田村最初の1ヶ月間は研修が行われます。現地の大学でフィジー語、ヒンディー語を習ったり、活動中の注意点や報告書の出し方などのオリエンテーションを受けていました。そのあと、フィジアンとインディアンの村に2泊ずつ泊まります。そして、実際に派遣という流れです。

— 三田村さんは、国立のリハビリテーション病院に配属されているとのことですが、実際の活動について詳しく教えていただけますか?

三田村:青年海外協力隊の理学療法士としての活動内容は、主に次の6つです。

▼ 理学療法士隊員としての主な活動

  1. 院内・外患者の治療
  2. ワークショップの実施
  3. 地域巡回
  4. 統計・分析
  5. 評価用紙の刷新・改訂
  6. NCD予防活動

週間スケジュールは割としっかり決まっていて、例えば、月曜日の午前中は切断の患者さんメインでの診察、午後は入院患者さんやほかの病院の患者さんのリハビリ。火曜日は回診、水曜は外来受付などといった感じです。

— うわ〜。お忙しそうですね。

三田村人材不足ということもあり、私が来る前は理学療法士ひとりでこの病院全体のリハビリを診ていたそうです。なので、私は通常業務の戦力として入っている感じです。その分ドクターや同僚とも相談しあえたり、マンパワーとしてやっているからこそできることも多いので、ありがたいですけどね。

— ボランティアでこんなにもやらなきゃいけないことがたくさんあるって、逆に珍しいんじゃないですか?

三田村:珍しい方だと思います。協力隊員の中にはやることがそこまでないと言っている人もいますね。

活動の中で大変なこと

フィジー
巡回では、離島も含めフィジー全土を回っています

— 理学療法士だと病院内の患者さんの治療というイメージがあるのですが、その他の活動も結構多いですね。

三田村:やることは多いですね。なかでも巡回活動とワークショップが大変で。フィジー全土を巡回しているのは本院だけなので、患者数が本当に多いです。

— フィジー全土を巡回するんですか!それはハードワークですね。

三田村:日本だと各地に訪問リハビリのステーションがあって、入院患者さんの退院後のケアも丁寧ですが、フィジーでは、退院後の暮らしまでは見切れていないのが現状です……。

— なるほど……。ワークショップはどんなことをしているんですか?

三田村:もともと要請されていたのは、同僚の理学療法士とCRA(コミュニティ・リハビリテーション・アシスタント)たちのスキルと知識向上のための勉強会開催でした。ですが、プラスアルファでのスキルトレーニングや、看護師向け勉強会も月1回行っています。

また、複数の病院から理学療法士が集まるリハビリテーション勉強会でお話させてもらったり、ありがたいことにフィジーの理学療法士協会からもオファーをいただき、先日講演とケーススタディを行ってきました。

— それはすごいですね!

三田村:私が日本で脳卒中や脳梗塞での麻痺患者さんを専門的に診ていたというのもあって、いろいろなお話をいただけているんだと思います。でも、英語での講演にかなり苦戦しています。

— 日本語でやるのも大変なのに、それを英語で、ですもんね。

三田村:はい。事前に本を見て引用箇所を調べる作業など、プレゼンの準備がとても大変です。でも、その分自分の英語力や、理学療法の知識のブラッシュアップになるし、フィジーの理学療法界からも必要とされていることなので、やりがいがありますね。

はじめは口出しをせずに様子を見ることも大切

青年海外協力隊
同僚の理学療法士Debbieさん(写真右)と三田村さん

— その他の活動についても教えていただけますか?

三田村:はい。保健省に送っている毎月のレポートの集計や分析をしたり、患者さんの経過を追うための「評価用紙」を作り変える作業もしています。評価用紙は、だいぶ古いものを使っていたので、同僚と相談しながら半分ぐらいは新調しました。

— 「評価用紙」はリハビリの根幹にもなるところですよね。作り変えたいと思って、実際に作り変えられる環境なのがいいですね。

三田村:ここは理学療法士が私を入れて2名だけで、コミュニケーションが取りやすいというのもあります。

でも、最初6ヶ月ぐらいは、活動の中で気になることがあっても何も言わず、様子を見ていたんです。仕事を覚えて、自分ができることを増やして、信頼関係作ってから、というのを意識していました。

— たしかに、それは大切なところかもしれません。NCDというのはどういうものなのでしょうか。

三田村:Non-Communicable-Diseases(NCD:非感染性疾患)の略で、日本でいうところの「生活習慣病」です。特にフィジーだと糖尿病の患者さんがすごく多くて、国全体の課題にもなっているんです。このNCDの予防啓発活動として、同僚向けにズンバやトレーニングサーキットを週1回行なったり、イベントに参加したりしています。

>>フィジーの医療やNCDの現状についてはこちらに詳しくまとめました

派遣国での日本人同士の交流

青年海外協力隊
青年海外協力隊の同期隊員のみなさんと

— 派遣先では、日本人は三田村さんおひとりですか?

三田村:はい。病院では日本人は私だけです。

— では、現地での日本人同士の交流はあるのでしょうか。

三田村:割と多いですね。青年海外協力隊の隊員がスバに12名、隣の地区のナウソリに2名いるので、その方々や、JICAの職員、大使館の方などとの交流があります。フィジーの青年海外協力隊の隊次は年3回あり、送別会や歓迎会のために結構頻繁に集まります。

— 家は一人暮らしで?

三田村:いえ、青年海外協力隊の隊員と住んでいます。いまは野球隊員と同居していて、土日にはよく一緒にスポーツをしたりしています。全然違うことをしていてもお互いの共通点もあって、刺激しあえる仲です。

— 普段違うことをしている人との出会いって貴重ですよね。価値観が広がりそうです。

三田村:本当に。周りからの良い刺激は、自分のモチベーションを維持させてくれていると思います。他にも、良いなと思う活動には積極的に参加しています。先日スバで行われたハイビスカスフェスティバルでは、環境教育の隊員主導で、スバ在住の日本人みんなで清掃活動を行いました。はっぴを着てゴミ拾いをしてるから、周りからは最初変な顔をされたんですけど(笑)。

— 素敵な活動ですね。

フィジーの良いところ、悪いところ

青年海外協力隊

— 三田村さんが思うフィジーの良いところは?

三田村:一番は、フィジー人の人間性です。いつでもどこでも笑顔で「Bula」と挨拶して、見知らぬ人でもティーに誘ってくれたりと、いつも癒されています。フィジーは南国で綺麗なリゾートというイメージを持っている人は多いですが、それは一部に過ぎません。村やフィジー人の家に行くと、本当の家族のように接してくれて、そんな温かい人間性が大好きです。

— 逆に、フィジーの嫌いなところはありますか?

三田村:表裏一体ですが、フィジーの人たちはいい加減なところが多々あります。時間にルーズ、約束事は破る、継続的な行動ができないなど、仕事に対しては致命的だなと思う部分もあります。

— たしかに、仕事のパートナーとしてみると、ストレスが溜まる部分も多いかもしれないですね。

三田村:逆に、何事もあまり気にせずゆっくり生きていることが、幸せなんだなぁとも思いますね。

あとは、良くも悪くもコミュニティをすごく大切にしていると感じます。病院では、同僚たちとティータイムをとることが多いのですが、業務が忙しくて昼休みもまともに取れない時期が続いたことがあったんです。少し落ち着いた時期に、久しぶりに休憩所に行ったら、「あれ、最近見ない顔だね」と、ちょっと嫌味のようなことを言われてしまいました。

— そんなことが!うまくやっていくには、普段から周りとの関係をしっかり築くことが大切ということですね。

派遣期間中にやりたいこと

入院病棟のベッド
日本から援助されたものには、国旗がついています

— 派遣期間終了まであと1年ありますが、これからやりたいことなどはありますか?

三田村:フィジー人のためになることをひとつでもできればと思っています。具体的には、「草の根人間の安全保障無償資金協力」といって、現地の団体や施設に対し1000万円程度を上限に日本政府から援助してもらえる制度があるんですが、その提案を進めているところです。本院には、外来で救急車が来るところに屋根がないので、そこに屋根を取り付ける申請を出すために保健省と話をしたりしています。この病院は、1940年ごろに建てられた陸軍の病院をそのまま使っているので、あちこちがボロボロで。

— 屋根がないということは、雨の日は濡れたままで患者さんを運ばないといけないということですか。日本では考えられないですね……。提案が通るよう、祈っています。

三田村:ありがとうございます。あとは、とにかく自分の活動を一生懸命に続け、健康で日本に帰ることですね。あ、リゾートとか、まだ行っていない島や村にも訪れたいな。

— 応援しています!では、日本に帰ってからの展望などをお聞かせいただけますか?

三田村:地元に戻り、理学療法士として働く予定です。将来的には、青年海外協力隊の経験を活かして、在日外国人が安心して来れる診療室やコミュニティなどをつくれたらいいなと思っています。

— とても素敵ですね。期待しています。

これから青年海外協力隊を応募しようか考えている人へ

義肢装具士
義肢装具士のみなさん

— それでは最後に、これから青年海外協力隊の応募を考えている人へアドバイスをお願いします。

三田村:活動していると、良い面だけでなく悪い面もいっぱい見えてきます。なので、来てから後悔しないように、応募を決断する前にはJICAに関する書籍を読んだり、経験者の話を聞いたりして、青年海外協力隊の善し悪しを理解することをおすすめします。「それでも行きたい!」「行かずに後悔したくない!」と思うのであれば、絶対に応募してみるべきです。

もし私自身に聞いてみたいことあれば、Facebookからでも連絡ください。活動なども掲載しているので、ぜひ見てください。

Facebook>>Akira Mitamura

青年海外協力隊(JICAボランティア)概要

独立行政法人国際協力機構(JICA/ジャイカ)が運営する、国際ボランティア。
20〜39歳の人が応募できる「青年海外協力隊」と、40〜69歳の人が応募できる「シニア海外ボランティア」があります。

詳しくは、JICAボランティア公式ホームページ

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