フィジーのお土産屋さんに行くとよく見かける、白黒茶の幾何学模様のグッズ。かわいいな〜、とか、リゾートっぽいな〜、などと思う方も多いのではないでしょうか。
この模様はタパ柄と言われます。「タパ」は、太平洋の島国の人々には欠かせない、とっても伝統的なものなのだそうです。
え、でも、そもそも、「タパ」って一体なに?
どうやって作って、どんな時に使われているの?
と色々疑問に思っていたので、先日フィジーに行った際に、現地のタパ職人さんを紹介してもらい、実際に作っているところ見せていただきました!ここでは、タパの作り方、そして使い方を、フィジーの文化と合わせてご紹介します。
目次
タパ(Tapa Cloth)とは?

タパは、オセアニアの島嶼国で広く作られている、木の皮から作られる樹皮布です。
ハワイでは「カパ」、サモアでは「シアポ」と呼ばれ、フィジー語では「マシ」といいます。
現在、フィジーでのタパづくりは、主にヴァトゥレレ島とラウ諸島などを中心に行われています。
タパ柄は観光客にも大人気

最近では、タパでよく使用されるデザインを木綿や合成繊維にプリントした商品も多く、このデザインはタパ柄(Tapa Design)と呼ばれます。
白黒茶のカラーと幾何学模様がスタイリッシュでおしゃれなタパ柄は、観光客にも大人気!
タパ柄は、リゾートホテルの内装などで使用されることも多く、また、ブラシャツ(フィジー版のアロハシャツ)や女性用のスル(フィジー版パレオ)の柄としてもよく使われています。
タパはこうして作られる
今回は、首都スバからバスで30分ほどしたところにある、タパ職人「インガトロさん」のお宅にお邪魔して、タパの作り方を教えていただきました。

タパは、このような桑科の木の皮を剥ぎとり、専用の木槌でトントントン……とたたいて引き伸ばし作っていきます。
この木槌、持つと結構重くてびっくり。
木槌には切れ込みが入っており、まずは切れ込みが2本入っている面でトントントンとたたいていき、次に目の細かい面でたたく。最後に切れ込みが入っていない面で仕上げにさらにたたくたたく……。
一枚のタパクロスを作るのでも結構な重労働です。しかも、タパづくりは女性の仕事とされています。こりゃあ現地の女性がたくましくなるのも頷けるなあ。
さて、出来上がったものがこちら。

布というよりは、和紙に近いイメージですかね。素朴な風合いが素敵です。
タパクロスは、服になったり、部屋の装飾品になったりと、様々なところに使用されます。大きさが足りない場合は、出来上がったタパクロスをさらに継ぎ合わせていきます。
布が完成したら、次に「絵付け」です。
絵付けには専用の塗料(茶・黒)を使います。

ここで、インガトロさんがレントゲンで使うX線フィルムのようなシートを数十枚出してきました。シートには様々なモチーフが切り抜かれています。

このモチーフは島や地域によって様々。ひとつひとつに意味が込められているそうです。

これを、タパクロスの上にのせ、ステンシルの要領で塗料をぽんぽんと叩くようにして模様をつけていきます。


どの模様をどう組み合わせてデザインするかで、出来上がりの印象が全く違います。
ここからがタパ職人さんの腕の見せ所ですね。

完成品はこんな感じ。

絵付け開始から20〜30分で完成!あっという間でした。一見複雑そうに見えるデザインですが、ひとつひとつの模様を規則的に組み合わせていくと上手くできるんですね〜。
タパづくりについて詳しく教えてくださったインガトロさん、ありがとうございました!!
フィジーでは冠婚葬祭でタパが使われる
フィジー人は人生の節目となるところで、タパを身にまといます。
結婚式では、婿側の村の女性たちが作った巨大なタパで式場をコーディネートします。もちろん新婦さんのウエディング姿もタパです。
初めて子供が生まれた時(特に男児の場合)は、出産後すぐにタパで包み、みんなでお祝いします。
さらに、タパはお葬式にも。
フィジー人のお葬式は、通常では土葬となります。
このとき、遺体が入れられた棺の上に大きなタパを被せ、セレモニーが執り行われたあと、墓地に埋葬されます。
フィジー人は生まれてすぐにタパに包まれ、そして、タパとともに土に帰っていくのです。
お月様にいるのはタパをたたく女神
日本では、月でうさぎが餅つきをしている、と教わりましたよね。
実はこの月うさぎ説、海外では様々なバリエーションがあることをご存知でしょうか。
フィジーをはじめ、太平洋の島々では、「月では女神『ヒナ』がタパをたたいている」と言われているんです。
綺麗な海や青々とした空も素敵ですが、満点の星や輝く月が見える夜空もフィジーの見どころのひとつです。
フィジーに行った時には、夜空を見上げ、月の中の女神が打つタパの音を心で感じてみてください。
こんなところにもタパ
航空会社「フィジー・エアウェイズ」

2012年にコーポレートデザインを一掃したフィジーの航空会社「フィジーエアウェイズ」。ロゴやスタッフの制服、機内デザインにもこのタパ柄が採用されています。
デザインを担当したタパ職人マケレタさんのメッセージ動画があったのでご紹介します。
詳しいタパの作り方も説明してくれているのでとても参考になります!映像も美しい。
ディズニー映画「モアナ」にも
「モアナと伝説の海」は、2017年3月に公開された、オセアニア島嶼国を舞台にしたディズニー映画です。
劇中には、フィジーに限らず、オセアニア地域の色々な国の言葉や文化などが入り混じり、太平洋の島々の伝統や神話などを元に作られている部分も多くあります。
タパは1:40あたりからの背景によく使われています。
心温まる素敵な映画なので、まだ見ていない人はこの機会にぜひ。
手工芸品の良さをぜひその目で確かめてください!
今回は、フィジーの伝統、文化が詰まった「タパ」についてご紹介しました。
柄自体ももちろん素敵ですが、村の女性たちが愛情込めて作ったタパクロスの素朴な暖かみ、風合いを、ぜひ一度現地で見てみていただきたい!
フィジーに行った際は、タパにも注目してみてもらえると嬉しいです。


