手頃な費用で行けたり、さまざまなプログラムやサービスがついていたりと、最近では「留学」がより身近なものになっていますよね。
手軽に留学へ行けるようになった反面、「こんなはずじゃなかった……」と後悔して帰ってくる留学生も決して少なくありません。今回は、留学でやってしまいがちな、失敗の原因になる行動をまとめました。
1. 基礎英語力が低すぎる
留学に失敗する多くの人が口を揃えて言うのは、「留学前にもっと勉強してきてから来ればよかった」ということです。
あなたは、「海外に行けば、英語は自然に伸びるだろう」と思っていませんか?
なんとかなるとたかをくくって、ろくに勉強しないで行くと、よっぽどコミュニケーション能力に長けている人でない限り失敗します。
確かに、日本と違って何をするにも英語を使う海外生活では、英語力がつきやすい環境といえます。しかし、英語力0の人よりも、英語の基礎がある人の方がはるかに理解も早く、実践的なスピーキングに時間を割けるので、留学をより濃いものにできるでしょう。
目安としては、留学前にTOEIC600点レベル、英検2級程度の英語力を持っていると現地での成長を実感しやすいです。事前勉強は惜しみなく、やりすぎるぐらいしておくことをおすすめします。
2. 日本人と多くの時間を共に過ごす
私たち日本人が行く英語圏の語学学校には、高い確率で同じ日本人がいます。知り合いの全くいない海外生活は、不安なことも多く、同じ母国語を話す日本人と仲良くなるのは自然なことです。
しかし、ここでずっと日本語で話してしまうと、もちろん英語を話す時間が減りますよね。さらに、自分より英語力のある友達ができた場合、街でのちょっとした会話もその人に全て任せてしまって、自分では授業以外ほとんど英語を話さないという状況になる可能性も。留学したけど英語は身につかなかったという人の典型パターンのひとつです。
多くの留学生は、渡航前には強い気持ちを持っていても、現地にいるとついついこれぐらい大丈夫か、と自分に甘くなってしまう傾向にあります。
せっかく海外に行ったのに、
などという、語学習得を諦めてしまった日本人の友人に引っ張られないようにご注意ください。
ただ、個人的には、日本人同士の付き合いが悪いものだとは思いません。
周りが日本人ばかりだけど、とにかく英語を習得したいのであれば、例えば次のような工夫をしてみてはいかがでしょうか。
- 向上心のある意識高い系の人と付き合う
- 日本語のわからない友達を必ずグループに入れ日本語を話せない環境にする
- 留学期間中は誰とでも英語で話すと決める
または、休日は現地のボランティアに参加したり、外国人の友人と出かけるなど、日本語が聞こえない環境に身を置いてしまうというのもひとつの手です。
3. 留学の目的・目標があいまい
「留学の目標は何ですか?」と聞かれた時に、次のように回答する人は、失敗する可能性が高いといえます。
- 英語を話せるようになりたい
- 世界中の人と話せるようになりたい
- 将来英語を使った仕事がしてみたい
失敗する人の留学の目的、目標はとてもあいまいなことが多いです。
「でも3番目は、ちゃんとした目標じゃん?」と思う人もいるかもしれません。
しかしこの場合も、通訳なのか、現地採用で営業をするのか、翻訳なのかなど、「英語を使った仕事」というのが具体的にイメージできていないことがほとんど。強い気持ちがないため、留学中に「そんな目標あったっけ?」と記憶をすり替えてしまうことになりかねません。
目的、目標があいまいだと、留学前や留学初日に「よし、頑張るぞ!」とメラメラしていた気持ちも、生活の慣れと共に忘れていってしまうでしょう。
一方、留学が成功しやすい人は、次のような目標を掲げています。
- 通訳になるために生きた英語を学び、帰国後TOEIC900点をとる
- 海外でWebデザインを学んでスキルアップしたい
- 留学中に英語でストリートライブをする
できれば、英語はあくまでも手段と捉え、海外でしかできない”英語以外の”目的を持てるといいですね。英語の習得しか思いつかないなら、自分はいったい何のために英語を習得したいのかを一度深掘りして考えてみましょう。新しい目標ができるかもしれません。
留学の失敗は、留学に行く前に決まります。
しっかりとした目的、目標を持ち、留学中の早い段階でそれに近づく工夫を見つけられれば、最後まで濃い留学になるのではないでしょうか。
4. 失敗が怖くて挑戦しない
失敗したくないという気持ちは、誰にでもある感情です。まじめで繊細な私たち日本人には大きな課題ですね。
気遣いができる優しい人ほど、「つたない英語だと迷惑かけちゃうかな?」とか、「なかなか伝わらなかったら気まずい!」など、いろいろなことを考えてしまう傾向に。
人の事ばかり心配してしまう人間力の高さが邪魔をします。
このような「メンタルブロック」は、多くの留学生の前に立ちはだかる壁。特に、完璧主義で発音コンプレックスのある日本人ならなおさらです。しかし、ここは乗り越えないとしかたないですよね。
旅の恥はかき捨てです。プライドや遠慮は捨てて、赤ちゃんに戻ったつもりでチャレンジするしかありません。
実は、メンタルブロックも、事前勉強をしっかりしておくことである程度は対策することができます。また、日本の家族や自分の趣味などを説明する英文や、よく使う質問の英文を事前に準備して持ち歩くなど、英語で話す心構えをしておくと、挑戦しようという気持ちが起こりやすくなります。
何度も言いますが、日本でできる勉強は、日本でしておきましょう。
5. スマホに頼る
不慣れな海外生活には、想像以上のストレスがかかります。そんな時にはゆっくり休むことも必要でしょう。
ここで気をつけたいのが、スマートフォンです。
いまやほとんどの留学先でインターネットが繋がる時代。SIMを入れ替えれば使い慣れた自分のスマホでSNSやゲームができます。
人見知りで友達がなかなかできなかったり、ホストファミリーと打ち解けられずに部屋にこもってスマホばかり見ている生活……。なんのために海外に来たのだろう、とネガティブになり、余計に英語環境が怖くなり、日本の家族や友人とばかりSNSでやりとりして、と負のスパイラルに陥ります。
いまは便利すぎる世の中です。意志の弱い人は、自分から情報を遮断することで、自ら英語を使わなければいけない状況に置くということも必要なのかもしれません。
一方、留学先でどうしても自分から繋がりを持てないという人は、逆にスマホを活用するという手もあります。ランゲージエクスチェンジ系SNS(Hello Talkなど)で日本や日本語に興味のある現地の人を、現在位置から探してメッセージを送り、ゆっくり友人関係を築いてから会うなど、スマホは使い方次第では強い味方になります。
どちらにしても、最後に頼れるのは自分だけです。日本でもスマホ中毒ぎみの人は特にご注意ください。
失敗か成功かは自分の心が決めること
一般的には「留学の失敗」=「英語力が伸びていないこと」と捉えられがちです。
しかし、留学したい目的や目標は人それぞれです。英語はそこまで上達しなかったけど、ホストファミリーとすごく仲良くなれた、とか、たくさんインスタ映えする写真が撮れて満足!など、自分自身が行ってよかったと思えば、その留学は成功したといえるでしょう。
留学生活では思わぬ出来事は多く起こります。後悔することもあるかもしれないけれど、それ以上の楽しい思い出がきっと深く残るはずです。物事を必要以上に重く捉えず、ポジティブ思考を持つことも、留学に大切なことのひとつではないでしょうか。
もしかすると、いろいろ考えすぎて結局留学に行かないことが一番の「失敗」かもしれませんよ。悔いのない人生を!