海外旅行のお土産の定番といったら「お菓子」ですよね。
フィジーにも様々なお菓子がありますが、今回ご紹介するのは、日本人とフィジー人が共同経営している100%フィジー産のチョコレートメーカー「フィジーチョコレート(Fiji chocolate)」。
フィジー人ショコラティエが全て手作業で作る、まさに「フィジーの味」が楽しめるチョコレートです。
ナンディエリアに専門ショップもあるので、フィジーに行く時には是非足を運んでいただきたい、おすすめスポットでもあります。
今回は、共同代表の田中光康さんにインタビューを敢行。「フィジーチョコレート」の成り立ちや、製造へのこだわりなどをお伺いしました。
目次
「フィジーチョコレート」の成り立ち
※以下、田中さん談
フィジーのカカオ栽培の歴史は古く、イギリス植民地時代に英国から持ち込まれ、一時は広範囲に広がりました。しかし、同じく持ち込まれたサトウキビの方が栽培も簡単で量も作れるため、みんなそちらに流れてしまいます。カカオ栽培は一部の農家を残して衰退していきました。
「フィジーチョコレート」共同代表のテビタは、もともとお父さんの代からカカオ農場をやっていた農家でした。
フィジーにおけるチョコレート製造は割と最近の話で、2007年にスウェーデン人のショコラティエがフィジーに来て、テビタを始め5〜6名の農家に教えたのがはじめだそうです。
しかし、繊細なチョコレート作りはフィジー人の肌に合わず、みんな続かなかったそうです。テビタはたまたま職人気質の性格だったため、その後も続けていました。
「フィジーチョコレート」誕生は、2013年。
アグリカルチャーショーというイベントにて、日本人の前オーナーとテビタが出会い、本格的に事業を興そうということになったのが始まりです。
留学学校のカウンセラーからチョコレート会社の経営者に
僕自身はここに来る前は、フィジーの留学学校のカウンセラーをしていました。
その会社では、3年間勤めたら1年無料でフィジー留学させてくれるという制度があるのですが、僕はその制度を使い、こちらでの地盤を固め、最終的にはラウトカでレストランをやろうと思っていたんです。
そう思ってフィジーに留学していた矢先、前オーナーと知り合いました。
その時はチョコレートに興味もなかったし、まさか自分がチョコを売ることになるなんてまったく考えていなかったですね。
僕は日本で会社経営を4回経験していまして、それもあって前オーナーから色々と相談を受けるようになりました。
ところが、いよいよ試作品が完成したという時、前オーナーが持っていた持病が発症してしまい、志半ばで辞めざるを得なくなってしまったんです。
そこで、僕に事業を引き継いでほしいと相談され、紆余曲折あり、今に至ります。
僕は、これまで結構好きなことをやってきたので、もう欲しいものは全部手にしたし、物欲もない。これからは自分のためでなく、誰かのためにやるというものでないと頑張れないと思ったんです。
前オーナーは自分を必要としてくれていたし、奥さんと出会ったのもフィジーだから、フィジーへの恩返しにもなるのかなと思いました。
ただ、フィジー人との共同経営は難しいということもわかっていたので、テビタとも話をする機会を設けました。
実際話してみると、テビタはものすごく良い人だったし、自分のことを好意的に迎えてくれました。
しかし、彼は経営についてはあまりわかっていなかったので、「自分は厳しいし、無理なことは無理だとはっきり言うけど、それでもいいか?」と聞くと、「むしろそれがいい。」と言ってくれたので、一緒にやっていけると確信しました。
フィジー人経営のビッグカンパニーを作りたい
実際に事業を始めるにあたっては、自分は影武者になって裏で経営をするので、テビタが表に出ていって欲しいと伝えました。
まず、なぜ僕が経営する必要があるかというと、フィジー人は商売下手というか、1ドルで買ったもの1ドルで売っちゃうんですよ。人が良いので値段を上げることができないし、すぐあげちゃったりするんですよね。
フィジー人らしくて好きなんですけど、それでは産業として広がっていかないから、僕がマーケティングをやる必要があるかなと思っています。
あとは、彼らは小さい頃からチョコレートを食べてきているわけじゃないので、味の良し悪しががわからないというのもあり、そこも自分が調整役を担っています。
また、実は今フィジーにある大企業のほとんどがインド人経営です。
だからこそ、フィジー人のビックカンパニーにしてあげたいという気持ちもあります。
フィジー人が育てて作ってフィジー人が売る、フィジー人経営のチョコレートファクトリーを作りたいですね。
フィジー・タイレブ産100%有機栽培のカカオを使用
「フィジーチョコレート」のカカオ農場があるのは、タイレブのコロボというところです。首都スバよりも北側のエリアですね。
フィジーは東側と西側で気候が全く違い、東側は高温多湿でカカオ栽培に適しているんです。逆に、できたカカオを乾燥させるには、西側エリアの方が適しています。
コロボには、家族経営のカカオ農家さんたちが90ほどいるのですが、「フィジーチョコレート」で使用するのは、その中の約1/3にあたる、農薬を使っていないカカオのみです。オーガニックやフィジアンメイドなど認証の申請は特にしていないのですが、100%オーガニックです。
カカオ本来の風味を大切に、素朴な“フィジーらしい味”を目指す
カカオの実はとても大きく、中には50粒ほどの種があり、その種がチョコレートの原料になります。カカオの種はこの状態ではもちろん香ばしくなくて、フルーティで甘みのある味がするんです。
チョコレートの作り方を簡単に説明していくと、
まずカカオの種を木の皮などに入れ、それをバナナの皮で包んで発酵させます。大豆が納豆になっていくようなイメージですね。
発酵が終わったら、天日干しにして、水分が30%ぐらい残っている状態にします。
この状態でチョコレートを作ったのが栄養価の高い「ローチョコレート」と言われるやつですね。
通常はそのあと、天日干ししたカカオを焙煎する工程が入ります。
コーヒーなどと同じような感じで、カカオビーンを炒っていき、水分を飛ばします。この焙煎の工程がチョコレートの味を左右する重要なポイントで、非常にこだわりを持っているところでもあります。
焙煎が終わったら砂糖と合わせ練っていき、状態を整えて完成です。
そして、私たちが作るチョコレートは「カカオバターを加えないこと」も大きなポイントです。
もともとカカオ自体にも脂分が多く含まれていますが、実際それだけで作るとパサパサしているので、日本で売っているチョコレートのほとんどは口あたりを柔らかくするために、カカオバターを加えているんですね。
フィジーのカカオ本来の風味を食感を楽しんでもらいたいので、なるべく自然のまま、シンプルな製法にこだわって作っています。
今後の展望
テビタは、タイレブの山奥で育っている生粋のフィジー人の割には珍しく非常に真面目で、ほっといても黙々と仕事をしているような職人肌の性格です。
そんなテビタとだったらやっていけるかなと思ってスタートさせた事業ですが、彼も50歳を過ぎているので、なんとかフィジー人の後継者を探してあげなければとも思っています。地元の産業として根付いてもらえるようにしていきたいですね。
僕自身も最近子供が生まれまして、家族があるので、しっかりと食べさせていかなければならないですし、まだまだこれからですね。
いつか孫ができたぐらいの時に、おじいちゃんこんなことしてたんだよと伝えられるネタになったらいいかなと思っています。
「フィジーチョコレート」詳細
フィジーチョコレート8個入り:FJ$14(約840円)
100%フィジー産のチョコレートはお土産にもぴったり!
ナンディエリアのナマカにあるショップでは、イートインスペースもあります。
また、「フィジーチョコレート」では、カカオからチョコレートが作れる「チョコ作り体験」を予約制で受け付けています。
ショコラティエのテビタさんがガイドしてくれるので、英語の勉強にもなりますし、何よりここでしかできない経験だと思います。興味のある方は是非足を運んでみてください。
問い合わせ先
住所
POBox11407 Nadi Airport
Nataly’s Building,Namaka, Nadi,Fiji
電話番号
(+679) 931-3324
公式ホームページ
フィジーチョコレート公式サイト