海の綺麗なリゾートのイメージが強いフィジー。ですが、フィジーでの子育ては、発展途上国ならではの苦労も少なくありません。
育児休業を取得し、家族5人でフィジーに短期移住している大畑さんのインタビュー後編。今回は、フィジー生活で大変なこと、海外移住を通じて感じる子どもと親の成長など、育休移住生活の実態に迫ります!
目次
育休移住中の過ごし方
— フィジーに来てからの毎日の過ごし方について、教えてください。
夫:フィジーに着いてから3週間は、ホテルに滞在しながら家探しをして、家が決まったら今度は保育園を探して、しばらくバタバタしていました。最近やっと落ち着いてきましたね。
いまは、平日8時半~13時半の週3日、5歳息子と2歳娘は保育園に通い、終わってからはみんなで海かプールに行くことが多いです。週末は、フィジー人のお宅にお邪魔して誕生日会に参加したり、フィジーに住む日本人家族とも出かけたりしています。
— ローカルな生活ですね。お子さんたちが保育園に行っている間、おふたりは何をされているんですか?
夫:まずは家事。料理、掃除、洗濯、食材や日用品の買い出しなどです。それから、一番下の子がまだ赤ちゃんなので、沐浴させたり一緒に遊んだり、スキマ時間にサイト(育休移住.com)を更新したりしています。あとは、移住生活の中で変わってきたことを夫婦間で共有する時間をとるようにしています。
— 夫婦でゆっくり話す時間を持てるのも、とても素敵ですね。
妻:日本にいたときは共働きだったので、朝保育園に通うのも、乗らなきゃいけない電車に間に合うようにと焦って準備していたり、送り迎えも夫婦で大変だなという気持ちもありましたね。今とは真逆です。こっちは、朝この時間に行かなきゃいけないという決まりもないから。
— そうなんですね(笑)。
夫:一応、9時までに来てとは言われていますがのんびりです。毎朝、道端のオジギソウの葉っぱを触って閉じたりとか、寄り道しながらみんなでのんびり通っています。良いヤシの木があれば、登ってココナッツを採ったりもしています(笑)。
心に余裕を持てるから、「子ども主体」で子育てできる
— 海外生活を通じて、お子さんたちにも変化はありましたか?
夫:こっちに来てまだ1週間ぐらいのとき、5歳息子が「英語と中国語を覚えて、みんなと話せるようになりたい」と言ったことがあって。これが「原体験」につながるのかも、と感動しました。あとは、子どもなりにフィジーと日本は国が違うんじゃないかという気づきがあって、いろいろな質問をしてくれます。それを聞くのが今の楽しみですね。
— 具体的にはどういった気づきが?
夫:言葉の違い、肌や髪型の違い、あと、どうやらテンションが違うらしいとか(笑)。
— テンションが違うらしい(笑)。
夫:日本人と何かが違うなというのがわかるらしいです。
そういった子どもの成長もありますが、私自身の変化もあって。いろいろな質問を子どもから受けるとき、日本にいた頃はすぐに携帯で検索して教えていたと思うんですよ。「ここが日本でここがフィジーで、違う場所にあるでしょ?」みたいに。でも、今はあえてそれをせずに、彼が自分の力で世界を描いていくのを待っています。時間的にも精神的にも余裕を持てることは、育休移住の良さのひとつですね。
ちなみにこれが最新の彼の世界です!
— たしかに、自分に余裕がないと子どものペースに合わせるのは意外と難しいかもしれません。いまはお子さんの中の世界がどんどん広がっていっている感じですね!
夫:はい。息子は生粋の東京人で、今まで彼の中では東京が全てだったんです。「東京=日本=世界」。それが日本全体や世界に向かって広がってきたんだなあと感じます。最初はバスが汚いから乗りたくないとか言っていたぐらいだったんですけど(笑)。
— あらら、都会っ子(笑)。
夫:私たちふたりとも田舎育ちなので、バスが汚いのも全く気にならなかったんです。だから改めて「あ、この子東京人なんだ」と、その時に気づきました。でも、今はむしろ窓なしのバスに乗りたがっています(笑)。
海外移住で感じた5人の命を守る重圧
— 育休移住で辛かったことや大変なことはありますか?
夫:実は、今の保育園は2園目なんです。はじめは別の保育園に行っていたのですが、結構厳しいところだったというのもあり2人とも行きたくないと言い出すようになって。送りに行くときは泣いてしまうし、お迎えに行くときも安心してまた泣いてしまって、子どもたちも親も辛い時期がありました。
— なんと!やっぱりなんでもスムーズにいくわけではないのですね。
夫:そうですね。なので、もう一回保育園探しを始めて、今の保育園に通うようになって2週間目になりますが、幸い子ども達は元気に通ってくれています。
— それはよかった!
夫:私自身の話でいうと、今回家族5人の命を抱えながらの海外生活にものすごく重圧を感じて、こっちに来てからの2〜3週間、毎日疲れ果てていました。
治安も良いとは聞くけど実体験ではないので、必要以上に防犯に気を張ってしまって。衛生面でも、子どもたちがどんな病気にかかるかわからないので、「水たまりに入っちゃダメだよ」とか、「その食べ物は食べないでおこうか」と事あるごとに伝えていました。のびのびと過ごすつもりが、子どもに気を付けさせることが必要以上に増えて、心身ともにきつかったです。
— 家族も友人もいない国での生活、責任感を感じるのは無理ないかもしれませんね。
フィジーで生活していて困ること
— フィジーで生活していて、嫌だなと感じるところはありますか?
妻:ゴミがそこらへんに捨ててあること、その辺でいろいろ燃やしていること、あとは排気ガスなんかが最初はカルチャーショックでしたね。でも、それが途上国の証なんだろうなって。
— たしかに、リゾートをイメージして来ちゃうと、そのあたりはカルチャーショックを受けますね。
夫:ヤモリも出ます(笑)。苦手な人は大変ですよね。あとは、よく断水があります。なので、うちではいつも飲み終わったペットボトルに水道水を入れてとってあるんです。シャワーとか止まっちゃったらそれを使って体を流したりとか。
— それも途上国って感じがします。
夫:あと、家にもよるんですが、太陽光発電でお湯を沸かすところが多いので、うちは午後の数時間しかお湯が出なかったりします。他にフィジーらしいなって思うのは、この前買ったメモ帳に、すでにメモが書かれてあったこと(笑)。
— あはは。基本的に物の品質は良くないんですかね。
妻:良くないですね。白いベッドシーツを買いに行ったときも、茶色いシミがついたまま売られていたんですが、でもそれしかないからしょうがないか、って感じです(笑)。
夫:ピカピカの新品なんてほとんどない(笑)。
それから、医療はかなり遅れていると聞いているので、体調には気をつけています。
でも、フィジーの「人」に対しては、そこまで苦労に思ったことはなかったかな。子ども達がいると、危ない場所とか時間帯に出歩くことも少ないというのもあるかもしれないんですが。
見知らぬ土地でゼロから子育て環境を作る大変さ
— 子育ての環境として、フィジーは良い方だと思いますか?
夫:良い方だとは思うんですが、親次第かなと思うところもあります。
— 親次第というのは?
夫:子どもと一緒に過ごす時間が増える中で、ちゃんと親が子どもと向き合えるか、子どもが色々話すことをよそ見せずに聞けるか、とかでしょうか。あとは、5歳ぐらいになると親以外のコミュニティの中で育ってくる年頃なので、親自身も海外で知らない人と話す勇気を持てるかどうか。人間関係を作ってコミュニティを用意できるかどうか。それができれば環境としてはとても良いところだと思います。
— 子どもとの時間が増えるのは素敵なことだけど、それはそれで大変なことも多いと。
夫:大変。日本では両親もいますし、友人や同じマンションに住む人、子どもの保育園のお友達などもいて、子ども達はみんなから言葉・感受性・人との関わり方を学び育ってきました。でも、子ども達にとって、フィジーに来てから主に関わる日本人は私たち夫婦ふたりだけです。私たちの発する言葉や態度だけが、子どもの価値観になってしまうので、それはすごく気をつけているところです。
また、フィジーでは思い通りにいかないことが日本より多いので、親がそれを乗り越えないといけません。だから、神経質になっちゃうとキツいだろうなと思います。その環境をアトラクション的に楽しめるといいですよね。
— 日本はいろいろ守られているところも多いから、子育てのしやすさでいえば単純に日本の方が楽ですよね。
夫:はい。でも、私たちはこっちに来てよかったなと思います。
子どもたちがフィジー人の優しさに触れさせてくれる
— 奥さんは最初不安の方が大きかったって仰っていましたが、実際にフィジーに来てみていかがでしたか。
妻:日本だと、気を抜くとテレビ見たりとか無駄な時間を過ごすことが多くなると思うんですけど、フィジーではそんなこともなく、多分日本で育休生活をするよりも良い生活ができていると思います。生活リズムも、子どもと一緒に寝て起きて、平穏で精神的にすごく良いです。フィジー人もすごく子どもに優しいですし。
— それは良かった!フィジー人はみんな子ども大好きですもんね。子ども連れで生活するのは大変じゃないですか?
夫:大変なところもありますが、子ども連れだからこそフィジー人の優しさにたくさん触れられているのかなとも思っています。例えば、バスに乗ると必ず席を譲ってくれるんです。子ども3人だとそれでも席が足りなかったりするんですけど、その時は近くの人が膝の上に乗せてくれたりして、見知らぬ人同士がみんなで手分けして、面倒を見てくれる感じです。
あと、レストランでも、私たちがご飯を食べているときは店員さんが子どもを抱っこしてくれてくれることもありますね。
“南の島へ移住”は、遠い未来の話じゃない
— 移住中にやってみたいことを教えてください。
夫:今まではずっと助けられた側にいたので、これからは助けられた分を他の人に還元できたらいいなと思っています。例えば、先日誕生日会に呼んでくれたフィジー人を、今度6歳になる息子の誕生日会に呼んでもてなしたり。あとは例のたくさん落ちているゴミの回収とか(笑)、そういうボランティアや、恩返しできる何かがあればやっていきたいですね。
— 素敵ですね。
夫:あとは、今まで本当に近場にしか行っていなかったので、ヤサワ諸島とか、海のきれいな離島にも行きたいです。
— 思い残しのないように、存分にフィジー生活を楽しんでください!では最後に、育休移住を考えている人へアドバイスをお願いします。
いま日本は、社会・個人共に新しい働き方・生き方を模索している真っ最中です。そのチャレンジを応援してくれる人はいるので、勇気を出して一歩踏み出して欲しいです。
それから、「将来は、南の島でゆっくり暮らしたい」と考えている方は、ぜひ今のタイミングで期間限定の移住をしてみてはいかがでしょうか。遠い将来の夢を今叶えてしまって、次の夢を探すのもいいかもしれません。
— 南の島の生活は、意外とそんな遠いものじゃないと?
夫:そう、意外とできるし、むしろ体力のあるいまだからできることもたくさんありますよ。
— 楽しいお話をお聞かせいただき、ありがとうございました!
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